学生アリスシリーズの読む順番とあらすじ(長編)-有栖川有栖

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学生アリスシリーズとは、英都大学の「英都大学推理小説研究会(EMC)」の部長・江神二郎を探偵役とした、作家・有栖川有栖さんを代表するミステリシリーズである。

私が好きなミステリー小説の中でもイチオシのシリーズなのだ!

このシリーズの特徴として、まず全ての作品が「脱出不可能の地での殺人事件」を描いていることがあげられる。いわゆる「クローズドサークル」というやつね。

さらに全ての作品に「読者への挑戦状」が挿入されている、というのも大きな特徴である。

※読者への挑戦状とは、「これまでに手がかりは全て出揃ったから犯人を当ててみてね♪」みたいな、作家さんからの挑戦のこと。基本的に激ムズである。

これほど本格ミステリ要素が揃っておきながら非常に読みやすく、主人公たちがみな大学生ということもあり「青春小説」の一面が楽しめるのも大きなポイントだ。

そして!何より目にしてほしいのが、江神二郎の「論理的な推理」である。とにかく推理が綺麗なのだ。華麗なのだ。そしてビューティフォーなのだ。

一度読めばきっとわかっていただけるはずである。

本当に面白い「推理小説」とはこのような作品のことを言うのであると。

1.『月光ゲーム』


まずはこの作品から読もう。シリーズ一作目にして有栖川有栖さんのデビュー作でもある。

EMCのメンバーが他の大学のグループ達と共にキャンプ場でワイワイやっていたところ、山が噴火して下山できなくなってしまった。

そんな脱出不可能の地で、悲しくも殺人事件は起きてしまう。しかも現場には被害者が書いたと思われる「Y」という文字が残されていた。そう、ダイイングメッセージである。

クローズドサークルであり、ダイイングメッセージがあり、読者への挑戦状まである。なんと贅沢な作品だろう!

江神二郎の華麗なる推理はもちろんの事、この作品は読後感が格別なのだ。

なんというか、本格ミステリを読んだ感じがしない。胸の痛みが残る、まるで切ない青春小説を読んだ時のような読後感なのである。

これほど上質なミステリと青春小説の両方が楽しめるとは何て贅沢なのだろう。ぜひ味わっていただきたい。

2.『孤島パズル』


今作では、前回にはいなかった有馬麻里亜(マリア) という人物がEMCに加わることとなる。EMC唯一の女性であり、男性陣たちの歓喜の様子がうかがえる。

さて、そんなマリアの招待で南の島へと行くことになった江神部長とアリス。しかもただの旅行ではなく、マリアの祖父が隠した5億円相当のお宝を探す旅行なのだ。

ワクワクする彼ら以上に私がワクワクである。

しかし、島に到着した二日目の夜、待ってましたとばかりに大嵐が到来。そして案の定、殺人は起きてしまう。しかも「密室」だ。

もちろん嵐のため島の外への脱出は不可能。無線機も破壊され、外部との連絡も取ることができない。不謹慎かもしれないが、私のテンションは上がる一方である。

見所はやはり江神二郎の推理であろう。

どんなささいな謎も論理的に完璧なまでに推理していく様は、バラバラに散らばったパズルのピースをはめていくような気持ちよさと美しさがある。まさに『孤島パズル』の名にふさわしい。

もちろん「読者への挑戦状」も含まれているので、諦めずにぜひ挑戦してみていただきたい。

3.『双頭の悪魔』


第三弾にして「シリーズ最高傑作」との呼び声高い名作である。

前作『孤島パズル』で登場したマリアが、とある山奥にある集落に行ったきり帰ってこない。そんな話をマリアの父から聞いたEMCのメンバーが、マリアを奪還しに行くというのが物語の始まり。

さて、なんとかその村に着いたEMC一同だが、ワケあって部長の江神二郎だけがマリアと合流でき、他の3人(アリス、望月、織田)は別行動をとることになる。

ところが、大雨によって村と村をつなぐ橋が崩壊し、江神グループとアリスグループは接触することができなくなる。ここからがこの作品のポイントだ。

江神たちのいる村とアリスたちのいる村、それぞれの場所で同時に殺人事件が起き、二つの場所でそれぞれ推理をしていくのである。

ここで私が一番の見所だと思うのが、アリス、望月、織田グループの推理合戦とその他のやり取りである。彼らは江神二郎のような天才的推理力を持っていない。だたのミステリ好きである。

そんな彼らが江神時二郎に頼ることのできない状況で、彼らなりにディスカッションをし推理を披露していく。このシーンが最高に面白いのだ!

まさにミステリ好きならではの青春という感じで、読んでいるだけでこちらも楽しくなってきてしまうのである。

さらに!『双頭の悪魔』では「読者への挑戦状」が3回も挿入されているところも大きな特徴である。3回もだ。尋常ではない。もうお手上げである。

4.『女王国の城』


EMCの部長・江神二郎がアリスたちの前から突然姿を消した。どうやら新興宗教団体の聖地・神倉に行ったらしい、ということで江神を追いかけて神倉へと向かったEMC一同。

そこで、江神は宗教団体の「城」と呼ばれる施設にいることが判明する。最初は拒まれたが、なんやかんやあって「城」にはいることを許されたアリスたちは江神と再会。

しかし、喜びもつかの間。殺人事件に巻き込まれてしまう。

さてここからがポイントである。宗教団体はこの事件を警察に通報することを拒否し、事件が解決するまでアリスたちを「城」の外に出すことを許可しなかった。

つまり、今までは自然災害によって脱出不可能の地へ追いやられたが、今回は「人の手」によってクローズドサークルが完成するのだ。

さらに注目なのが「凶器の持ち込みトリック」である。厳重な警備の中、一体どうやって「城」に凶器を持ち込むことができたのか。その真実をぜひ目にしていただきたい。

もちろん読者への挑戦もあるが、難しさが格段にアップしている。もはや解く気が失せるというものだ。

おわりに

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このシリーズの探偵役は確かに江神二郎である。

だが、江神のように天才ではない「だたのミステリ好きな大学生」であるアリス、織田、望月たちの泥臭い推理合戦も、学生アリスシリーズの大きな見所なのだ。ぜひ注目してみよう(特に『双頭の悪魔』)。

私も大のミステリ好きであるため、彼らのような推理まみれの青春を過ごしてみたかった(だが、実際に殺人事件に巻き込まれるのは勘弁である)。

現在、学生アリスシリーズの長編は以上の4編が出版されている(他に短編集が一作出ている)。

そしてこのシリーズは「長編5作、短編2作」で終了する予定とのことだ。

つまり次の長編で終わってしまうこととなる。非常に早く読みたいのがだ、絶対に終わってほしくもない。非常に複雑な心境である。

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